姉が幻のように訪れ、幻のように去って行った来津時のこと。

『やまき』でございます。
スゴイですよ。
木曜日の夕方に東京から到着し、その足でやまきに来たのです。
これだけやまきを愛している女が、他県にいるでしょうか。
あ、さらに遠くの山形県には、「でこさん」というお方もいらっしゃいましたね(笑)
つーワケで。


でこさん、ゴメンね!と言いつつ姉と乾杯。
呪いの声が聞こえてきそうです。


突き出し。松茸やら落花生に煮貝に・・・松茸の後ろの真薯らしきものがフワフワで口当たりが良く、つい最後まで半分取って置きました。
横の姉の皿を見ると同じく。
なんて、似た者貧乏性姉妹。


お造り。
今回はマグロやボタンエビなしの、やや変化球。
姉とM子の好み、直球ど真ん中!


〆鯖に烏賊。
烏賊はもっちり・・・ではなくねっとり。官能的な甘さと歯ごたえ。
そしてもうね!〆鯖がね!うっとりするような締り具合で。
刺身の良いとこと酢締めの良いところを、独り占め状態ですよ!
脂の甘みを引き締める酸味・・・お、美味しすぎる!


鰆と天然鯛。
鰆のお刺身は、ちょっと昆布で締めて皮目を炙り・・・ものすごい旨みです。
私はこれが大好物で、何度か頂いているのですが、毎回、何の魚か迷うのです。
旨みが濃いのに、あまりお刺身で食べる機会がない、そして通奏低音のように感じる鯖的な脂の香り・・・。
火の通った『サワラ』からは、想像できない繊細な風味なのです。
おそらく、お刺身で食べられるほど『旬』の時期は僅かだと思うので、出会えると嬉しい一品です。
そしてもちろん、天然真鯛は言わずもがな!
「鯛ってつくづく美味しいお魚なんだな・・・」と、実感しますよ!


うふふ。
最近、早々に注文する『和牛肉の塩焼き』。
やはりお肉は、お腹がペコペコなうちに食べねば!
この日のお肉は『宮崎牛』。
松阪牛よりも肉々しく、歯ごたえもガシュガシュッと、「今まさに肉を食べている」という感覚。
肉の味が濃く脂よりも、肉の繊維から出る味を楽しめます。
・・・しかし・・・個人的にはやはり。
グリルで焼いて脂が落ち、かつ自身の脂で表面が半ば揚がっちゃって、表面に綺麗な焼き目が付いていて、噛むと甘い肉汁がジュワッと噴き出る・・・あの松阪牛が恋しいです。
裏メニュでも良いので、再開を望みます!


大将のやまちゃん自信作、『秋の宴』。
これはね・・・まあ、実際に食べて下さい。
秋を彩る山の幸の中心を飾るのは、すくなカボチャ。そして・・・。
語りたいことは色々ございますが、焼き松茸の香りが濃厚な「出汁あん」に、今まで松茸に興味のなかった姉がノックアウト。
「松茸がこんなに良い香りだと、今、初めて知ったわ!」と。
私の隣に座っていたシャチョさんらしき方も、これを食べており、大感動!
まったく知らない人なのに、
「美味しいものを食べるって幸せだよねえ」
「ですよねぇ。明日も生きて行こうって気になれますよねぇ」
と、意気投合。
シャチョさんも我々と同じく、美味しい物をこよなく愛す方で、なんとお住まいは、M子の実家(ゆかり姉の居住地)である神奈川県!
仕事の関係で三重に来ることが多く、その際は必ず『やまき』に来るのだそう!
姉の同朋だとばかりに盛り上がり、お互い、三重の美味しいものについて語りまくり。


やまちゃん作の『栗の渋皮煮』。
はっきり言って、素人の私が作ったものとは、月とスッポンですよ!
甘くありつつも、お酒のアテにもなる、手練の技。
味付けにも、思いもよらぬ食材を使っていたり・・・完敗というか、脱帽です。


フフフの、射込茄子。
鱧の時期は終わったのか、魚は白身魚(カレイ?)に変わり・・・松茸の天麩羅は香り高く。
先ほど松茸に目覚めた姉が、感激しまくり。
この芳醇なかおりに、何故今まで気づかなかったの!?――と後悔しつつ、今までの遅れを取り戻すかのように味わっています。


キンキの煮付け。
これは私達が注文したものではなく、お隣のシャチョさんのもの。
シャチョさんは毎回、おまかせで注文しているらしいのですが、もうお酒も回ってお腹がいっぱいで食べられないからあげるよ・・・と。
何たる幸運!!!
何故か毎回、キンキの煮付けを注文しようと思いながら、タイミングを逃していた私達へのギフト!?
淡白なのに噛み締めるほどに味が出てくる白い身に、甘辛さ絶妙の汁が染み込み・・・!
美味しさとありがたさに打ち震えながら、綺麗に食べ尽くしました。
シャチョさん、ありがとうございます!


やまちゃんが、ゆかり姉のために冷凍してとって置いた、鮎をフライに。
一見アジフライに見えますが、味は全っ然違います!
そもそも冷凍した臭みが一切無く、揚げたてのサクサク。
フライのホクホク感に加え、油の向こうから鮎の青っぽい香りが訪れてきます。
クセになるくらい美味しいです。
先程のお礼に、シャチョさんにおすそ分けしたところ、「塩焼きの鮎より美味しいよ!」と、同じく大感動しておられました。
そ・し・て。
あとちょっとだけ食べたい姉妹のアンコール劇場。
ドゥラララララララララ・・・


〆鯖でございます!
あの脂の甘さと酸味と、山葵のツーンとした刺激。
恍惚となる美味。
日本人に生まれて良かったね~、と姉のみならず、隣のシャチョさんとそのお連れの方共々、感激いたしました。


締めは、鰻の飯蒸し。
空と大地の境目が融け合って・・・ではなく。
鰻と餅米の境目が融け合って・・・というほど、食感の柔らかさが同じくらい。
かたやふわふわ、かたやモッチリではありますが。
これもまた、欠かせない一品です。
あ、『辛みおろし蕎麦』も注文したのに、撮り忘れた!
最後の最後で痛恨のミス。
でも、うっとりするくらい満足だったので、無問題です!
ご馳走様でした[#IMAGE|S58#]
シャチョさんにも、ご馳走様でした[#IMAGE|S58#]
やまき